黄道12星座と『秘密曼陀羅十住心論』
黄道12星座の始まりが”牡羊”であるのはなぜでしょうか?
どうやら羊という動物は本能のままに生きている原始的な動物という意味合いが強いようです。そのため”始まり”や”無知”を象徴とするものとして、しばしば羊が使われるのです。
古今東西の文献にもそうした例を見る事ができます。
「迷える子羊」という言葉を聞いた事はないでしょうか。
聖書において群衆を羊に例え、またキリストを羊飼いに例えることがあります。
理由は諸説あるようですが、羊という動物は羊飼いがいなければそれぞれ自分勝手な行動をはじめるそうです。 人間もそれに似ていて指導者が不在だと皆が自分の好きなように生きて混乱してしまう。まるで羊が彷徨うかのように。
また別の例を見てみしょう。
空海は『秘密曼陀羅十住心論』(ひみつまんだらじゅうじゅうしんろん)の中で人間の心の発達段階を10段階に分けています。
その中の1段階目、第一住心を「異生羝羊心(いしょうていようしん)」と定めました。
これは無明の世界からの出発を意味しており、”羊心”というのは牡羊の心を意味します。
ー無知なものは迷っていながら自分が迷っていることを悟ることができない。
ただ牡羊のように性と食のことだけを思い続けて生きている。ー
空海は、動物のように本能のまま生きている人の心の状態を”異生羝羊心”として、
この心の状態を第一段階に定めたのです。
(ちょっと牡羊をdisる言い回しになってるような・・)
実は、黄道12星座も心の発達段階や人間が成長していく過程を表していると言われます。そして始まりは同じく牡羊です。 ちょっと『十住心論』と似ていますね。
もしかすると曼陀羅(まんだら)というのはホロスコープのことなのではないか? と考えるのは少し強引でしょうか。
※空海は宿曜占星術というものを日本に伝えたことでも知られています。